研究課題
通称FACE(開放系大気CO2増加装置)を利用し、ミズナラ・ブナ・カラマツ等の落葉樹の機能に対するCO2増加と窒素沈着の影響を野外で追跡し、炭素の転流・分配と土壌呼吸の構成内容を解析し、林分の土壌呼吸と"活力と健全性"を定量的に評価することを目的として研究を進めてきた。同位体の処理が予算の都合上進まず、代わって循環系を制御する土壌動物群集の解析をした。さらに、CO2固定機能を低下させる要因としての対流圏オゾンの影響調査も併せて実施した。FACE内での萌芽を利用したダウンレギュレーションの研究も実施した。この結果、地上部に大して巨大な根を持つ、いわばモデル個体は、予想通り、高CO2処理でも「負の制御」は見られなかった。この傾向はミズナラで明確に見られたが、シラカンバでは高CO2処理の効果が明瞭ではなかった。土壌動物は中型土壌動物を環境指標生物として調査したが、移動性の高いマルトビムシ亜属がFACE処理区で個体数が優位に少なく、食物としての落葉の質の低下が示唆された。また、オープントップ・チェンバー(OTC)を用いて対流圏オゾンの影響を調べたところ、実験期間中の平均的オゾン濃度は、30ppb程度であった。シラカンバではオゾンの影響が見られなかったが、ダケカンバでは衰退の程度が大きく、特に根の割合が有意の小さくなっていた。これは、ダケカンバの生育初期がオゾン濃度の高い時期に一致するため、当年に生産する葉がオゾンの影響を直接に受けるために成長が抑制され、その影響が、多くの植物で報告されたのと同様に、根への分配が制限された結果と考えられる。今後、生育時期を考慮したOTC実験を継続する必要がある。
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Landscape and Ecological Engineering 5
ページ: 99-106
ページ: 97-98
ページ: 115-123
http://www.agr.hokudai.ac.jp/fres/silv/index.php?%BF%B9%CE%D3%C0%B8%CD%FD%C0%B8%C2%D6#content_1_4