研究課題/領域番号 |
20380083
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小池 孝良 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (10270919)
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研究分担者 |
笹 賀一郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (70125318)
杉本 敦子 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (50235892)
柴田 英昭 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (70281798)
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キーワード | 土壌呼吸 / 高CO2 / FACEシステム / 中型土壌動物 / 落葉 / C/N比 / 光合成機能 / メタン放出 |
研究概要 |
制御環境で生育させていた苗木を解体し、器官ごとに乾燥重量の計測を行い炭素・窒素の分配調査をおこなった。予備試験の結果、細胞壁のリグニンの組成に高CO2の影響がハリギリでは見られたが明瞭ではなかった。温室効果ガスとしてはCO2の質量ベースで約23倍の温室効果を持つメタンの発生を土壌呼吸と伴に計測した。森林土壌は好気的環境のためメタン酸化菌が活動しているため、吸収源とされる。しかし、高CO2処理区ではメタン吸収量が抑制されていた。これは樹木の蒸散が高CO2での気孔閉鎖に伴って抑制され、上層木の葉が繁茂し、その結果、林床へ到達する入射光が遮られるため地表からの蒸発も抑制される。この結果、嫌気状態になってメタンの吸収が抑制されたと考えられる。落葉の分解に関与する中型土壌動物の群集構造も調査した。マツ林に近い場所のサンプルにバラツキが多かったためか、高CO2区と対照区の差は明瞭ではなかった。しかし、跳躍力のあるトビムシ類は高CO2区で多い傾向があった。これは高CO2では、やや分解されずに残った落葉量がやや多いため隠れ場所が多い事が関連するかも知れない。FACE内部の個体を伐採し、器官ごとにサンプリングして光合成産物の分配過程を調査した。この結果、上層木に達していたシラカンバとハリギリの成長は増加していた。下層に置かれたブナでは成長差は個体間のバラツキが大きく明瞭な差が無かった。共生菌類による窒素の供給はケヤマハンノキが虫害のため枯死したため計測できなかった。土壌に関する内容としては、メタンの動態に関してアジアでの事例研究が提示できたことが主要な成果と言える。安定同位対比には、対照区と高CO2区での明瞭な差が無かった。このため、当初予定していた炭素分配を安定同位体から解明することはかなわなかった。
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