研究課題
温帯林でのJanzen-Connell効果の成立過程を明らかにするため、立ち枯れ病を引き起こす土壌菌の接種試験と3種の広葉樹における交互播種試験を行った。接種試験では、同一の遺伝的組成をもつ菌でも、同種成木下の土壌から採取したものは同種の実生のみを強く攻撃し、他種には強い被害を与えないことが明らかになった。この結果は病原菌の種特異性を強く示している。さらに交互播種試験では3種の母樹下いずれにおいても、同種の実生の死亡率が他種の実生よりも高く、かつ、その死亡要因は土壌菌による立ち枯れと葉の病気の種特異性によるものであることが示唆された。これらの結果は種特異的な病原菌が、母樹下でその種特的に働き、実生の置き換わりを引き起こしていることが示唆された。これは、Janzen-Connell効果の成立過程を病原菌の種特異性の観点から詳細に明らかにした初めての研究である。間伐強度別スギ人工林(強度・弱度間伐・無間伐:各0.6hax3反復:平成15試験地設定済み)において、落葉広葉樹の種多様性回復機構を詳細に明らかにした。間伐は直後のR:FR比および土壌温度の上昇、リターの撹乱が遷移初期種の発芽、定着を容易にし、さらに実生の成長を促し、種多様性を増加させた。特に強度間伐は実生の成長が旺盛であり、林冠木の種多様性を回復させる上では有効な方法であることが明らかになった。また、弱度間伐は林床での広葉樹の多様性回復に止まることが示唆され、むしろスギの成長を主体に施業としては有効であることが示された。
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