研究課題/領域番号 |
20380085
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山田 利博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30332571)
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研究分担者 |
鴨田 重裕 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (80282565)
渡邉 敦史 独立行政法人森林総合研究所, 林木育種センター育種部・育種第二課育種研究室, 研究室長 (10360471)
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キーワード | マツノザイセンチュウ / 抵抗性 / マツ / 遺伝子発現 / 組織化学 / 防御物質 |
研究概要 |
20年度に接種試験を行ったマツ材線虫病抵抗性マツ樹種(ストローブマツ、テーダマツ)、抵抗性/非選抜クロマツを用いて、抵抗性発現要因探索を引き続き進めるとともに、21年度にも異なる家系の抵抗性/非選抜クロマツに対する接種試験を行い、解析試料を追加した。 生体防御関連遺伝子については、クロマツで防御反応が進む10日前後の組織から抵抗性・感受性共に完全長cDNAライブラリーを構築し、抵抗性からは6,000ESTを単離した。また、同じくSSHライブラリーは時系列に従って計6ライブラリー作成し、これまでに各ライブラリーから100ESTを単離した。SSHライブラリーからの遺伝子は抵抗性と感受性間で防御反応に大きな相違があることが明確であった。これまで集積したESTはマイクロアレイ分析に供し、時系列プロファイリングの解明を行う。 組織化学的には、ストローブマツ・テーダマツ・クロマツでリグニン化の起こる部位の差異がみられた。テーダマツおよび抵抗性クロマツで形成層や木部柔組織に破壊が生じる場合には、破壊された組織周辺にフェノール類の蓄積が認められ、線虫の移動を抑制していた。非選抜クロマツでは組織破壊が生じても早期にフェノール類が蓄積することはなく、線虫の移動を抑制しなかった。 抵抗性に関わる物質は、抵抗性クロマツ2系統及び感受性クロマツ1系統を対象として探索した。線虫の接種後、樹皮と材に分けてメタノール又は温水で抽出し、抽出物の抗菌活性を指標に検定した。抵抗性・感受性の別にかかわらず、メタノール抽出物及び温水抽出物のいずれにおいても、明瞭な抗菌活性は検出されなかった。また、線虫接種の有無による抗菌活性の相違は認められなかった。
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