研究概要 |
1.異なった重金属鉱山性荒廃地における菌根菌群集構造の解析 中国の安徽省銅陵市銅鉱山性荒廃地、江蘇省湯山市銅鉱山性荒廃地、湖南省湘潭市マンガン鉱山性荒廃地、冷水江市チタン鉱山性荒廃地および花垣市鉛、亜鉛鉱山性荒廃地、それぞれの重金属鉱山荒廃地に生育している馬尾松とQuercus fabriから菌根を分離した。現在、共生菌根菌のITS DNA領域の配列解読により菌種の同定と群集構造の解析を行っている。 2.樹木苗の定着と成長に対する外生菌根菌の影響 安徽省銅陵市銅鉱山性荒廃地と湖南省湘潭市マンガン鉱山性荒廃地、二ヵ所のフィールドに人工的に育成した当年生の実生を植え、その生存と成長の調査を行った。用いた実生の処理は以下の通りであった。 材料: 樹木種:アカマツ(Pd)とQuercus fabric(Qf) 菌根菌種:コツブタケ(Pisolithus tinctorius, Pt)、Cenococcum geophilum(Cg), Suillus bovinus(Sb) 樹木実生に菌根菌感染の処理(8処理): Pd未感染;Pd×Pt; Pd×Cg; Pd×Sb Qf未感染;Qf×Pt; Qf×Cg; Qf×Sb 各フィールドに10個のプロット(2×2m)を設定した。各プロットに上記の処理それぞれ3反復、合計24処理の移植実験を行った。各処理の実生は、滅菌土壌とともに50cm間隔で移植した。 3.菌糸培養実験系を用いて異なる外生菌根菌種の銅(Cu)耐性メガニズムの解明 50種の外生菌根菌、それぞれの銅耐性を調べるため、異なる銅濃度の液体培地(0,0.2, 0.4, 0.8, 1.2mM)で培養した。 その結果、菌種によって銅への耐性が異なることがわかった。今後、種内での銅耐性の違いをもたらすメカニズムを明らかにしていく予定である。 4.樹木と外生菌根菌共生系を用いて菌根菌共生系の銅耐性メカニズムの解明 室内でアカマツ実生に異なる菌根菌(コツブタケ(Pisolithus tinctorius)、Cenococcum geophilum, Suillus bovinus)感染実験(単独と複数種混合接種)を行った。現在、それぞれの菌根菌に感染した実生を用いて、銅耐性機構を調べている。
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