研究概要 |
本課題の目的は、多様な森林施業に伴う風害リスクを林冠の分断と修復過程に関連づけて定量的に評価できるシステムの開発をすることにあり、1)育林施業がひきおこす葉群分布の変化と成長やアロメトリー関係の変化などの生態現象,2)流体シミュレーション技術,3)幹や根元の力学特性,4)地域気象情報,の四種の情報を論理的に組み立てて、森林内の個々の樹木にあたる風の流れと幹被害現象をシミュレートするモデルを作成し、施業シナリオごとの風害リスクを評価しようとするものである。 平成20年度は、66年生ヒノキ林に1.3ヘクタールのコア調査地を設定し、調査地内の個体について位置とサイズを記録した。コア調査地内の林冠の上方、同一森林内に設置した30mギャップ、5mギャップの樹冠高に1か所づつ、コア調査地に近接するアカマツ林分の林冠上方の4か所で風向風速の計測を開始した。 隣接するヒノキ林66年生林分と31年生林分で立木引き倒し試験を実施し、根元の最大回転モーメントを計測した。最大回転モーメントは個体材積と一次の直線関係がみられたが、林縁個体と林内個体で関係に違いがみられた。この関係を用いて、コア調査地で間伐を行った場合の個体が転倒する限界風速を計算した。 大分県湯布院のスギ林を対象にリアムコンパクトを用いた風況シミュレーションを行うことで、強風頻度に対応する風衝スポットを抽出できた。
|