研究概要 |
本課題の目的は、多様な森林施業に伴う風害リスクを林冠の分断と修復過程に関連づけて定量的に評価できるシステムの開発をすることにあり、1)育林施業がひきおこす葉群分布の変化と成長やアロメトリー関係の変化などの生態現象2)流体シミュレーション技術,3)幹や根元の力学特性,4)地域気象情報,の四種の情報を論理的に組み立てて、森林内の個々の樹木にあたる風の流れと幹被害現象をシミュレートするモデルを作成し、施業シナリオごとの風害リスクを評価しようとするものである。 平成22年度は、次の項目について明らかにした。 1) 樹木への負荷の繰り返しが最大転倒モーメントおよびStiffness-indexに及ぼす影響を調べた。負荷の繰り返しが両指数に及ぼす影響は小さかったが、無負荷状態での幹の傾斜を増加させた。 2) 豪雨時の台風被害を想定し、高い土壌水分条件での最大モーメントを測定した、高い土壌水分は有意に最大回転モーメントを低下させた. 3) 林冠トポグラフィーとコロケード方式のLES法により、林冠表面の非定常な風速予測を行うことができた。林冠表面ではサイズの異なるさまざまな渦が発生しており、対数則であらわされる定常風とは大きく異なった。 これまでほとんどデータの無かった抗力係数をトラック曳行風洞法により求めた。抗力係数は通常用いられている仮の値より小さかった。
|