研究概要 |
長寿命一回繁殖性植物であるササ個体群は同齢個体群を形成し,それ以外の新規加入はほとんどない。個体群の維持に遺伝的多様性の保持が必須であるならば,一斉開花を通じてササ個体群の遺伝的多様性がどう維持されているのかを明らかにすることは重要である。旺盛なクローン成長を繰り返し,排他的な群落を形成し続けるササが,どうして一斉開花して枯死するか。そのメリットは何なのか?それらの疑問に対し,分子生態学的手法を用い,遺伝的多様性の維持という観点から具体的に答えようとするのが,本研究の目的である。一斉開花後の更新過程にある群落のクローン構造を明らかにすると共に,遺伝子交流の実態を解明し,生活史を通じた遺伝的多様性の維持機構の解明を目指す。
|