研究課題/領域番号 |
20380096
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
伊原 徳子 独立行政法人森林総合研究所, 森林遺伝研究領域, 主任研究員 (40353594)
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研究分担者 |
岩田 洋佳 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科・生産・環境生物学専攻・生物測定学研究室, 准教授 (00355489)
渡邊 敦史 独立行政法人森林総合研究所, 材木育種センター・育種部, 室長 (10360471)
坪村 美代子 独立行政法人森林総合研究所, 材木育種センター・育種部, 研究員 (70415040)
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キーワード | スギ / 雄花着生量 / QTL解析 / DNAマーカー |
研究概要 |
本研究の目的はスギの雄花着生量に関わる遺伝子座を明らかにすることである。雄花着生量の非常に多い個体CR46を花粉親として作成された交配家系3集団を材料としたQTL(量的遺伝子座:Quantitative Trait Locus)解析により、これまでに基盤連鎖地図の第5、6、9、11連鎖群に雄花着生量に関わるQTLが存在することを明らかにした。 平成23年度においては、QTLの原因遺伝子を特定するため他の植物の遺伝子との配列の類似性等の結果から花成や雄花着生量に関わると期待される遺伝子(以下候補遺伝子とよぶ)を選び、CR46交配家系の親間に多型のあった31遺伝子座を連鎖地図に位置づけて交配家系で検出されたQTL領域との対応を調べた。その結果、花成を誘導するLEAFY遺伝子のホモログが第9連鎖群のQTL領域に位置づけられた。最も効果の大きい第5連鎖群のQTLと関連する候補遺伝子は今回解析した候補遺伝子の中には含まれなかった。スギはゲノムサイズが非常に大きく、染色体ウォーキングによる遺伝子の単離はまだ現実的ではないと考えられている。しかし、ゲノムサイズが大きい生物であっても、連鎖地図上の距離と物理的な距離との対応は一様でないため、QTL近傍のDNAマーカーを使い物理的な距離と遺伝距離との対応を調べた。第5連鎖群のQTL領域において、基盤連鎖地図で1cMの距離にマッピングされた2つのマーカー間の距離はおおよそ200Kbpであった。基盤連鎖地図構築に使用されている個体数を考慮するとさらに複数のマーカー間で検討する必要はあるが、スギでも領域によっては染色体ウォーキングが可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
雄花着生量に関連するQTL領域を明らかにし、原因遺伝子の特定に向けた取り組みも着実に進んでいる。また、交配家系で明らかになったQTLのスギの精英樹での効果を見るための表現型データやDNAの準備も順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
原因遺伝子の特定について、H23年度同様候補遺伝子のマッピングを行う。特に、サブトラクション法により既に得ている雄花着生個体と未着性個体間で発現に差があると考えられる遺伝子を中心にマッピングする。同時に、QTL領域にマッピングされたマーカーを含むBACクローン(ゲノムDNAを含む)の単離と整列化を進める。 また、QTL領域にマッピングされた遺伝子について、これまでの調査に基づいてスギの精英樹から雄花量の多い個体、雄花量の少ない個体を選び、遺伝子内の多型と雄花量の関連解析を行う。
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