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2010 年度 実績報告書

遺伝情報に基づいたツキノワグマ保護管理ユニットの策定

研究課題

研究課題/領域番号 20380098
研究機関独立行政法人森林総合研究所

研究代表者

大西 尚樹  独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 (00353615)

研究分担者 玉手 英利  山形大学, 理学部, 教授 (90163675)
岡 輝樹  独立行政法人森林総合研究所, 野生動物研究領域, チーム長 (80353621)
石橋 靖幸  独立行政法人森林総合研究所, 北海道支所, 主任研究員 (80353580)
キーワードツキノワグマ / 遺伝構造 / 保全遺伝学 / 遺伝的多様性
研究概要

九州ではツキノワグマは,1987年に大分県で捕獲されたのを最後に捕獲および生息を示す確実な根拠はなく,現在では絶滅したと考えられている.この最後に捕獲された個体は,野生個体であるとされているが,他地域から移入された個体の可能性も指摘されている.今回,この個体の由来を明らかにすることを目的としてミトコンドリアDNA解析を行った.調節領域704塩基の配列を決定し,すでに発表されている系統地理学的研究の結果と比較したところ,同個体のハプロタイプは福井県嶺北地方から岐阜県西部にかけて分布しているものと同一だった.このことから,同個体は琵琶湖以東から九州へ移入された個体,もしくは移入されたメス個体の子孫であると結論づけられた.このことから、九州地方のツキノワグマは50年以上捕獲されていないことになり、絶滅していることが強く示唆された。
ツキノワグマが大量出没した年に遺伝構造がどのように変わるのかをマイクロサテライトDNA解析により明らかにした。調査は2004年から2008年にかけて富山県で行った。ヘアトラップで回収した体毛および通常年に狩猟により捕獲された個体を通常個体として扱った。04年と06年を大量出没年とし、秋に有害駆除により捕獲された個体を出没個体として扱った。両者のマイクロサテライトDNA6遺伝子座の遺伝子型を決定し、個体間の遺伝的関係と地理的距離について解析を行った。通常個体群では雌雄ともに距離による隔離の効果が見られるのにたいし、大量出没年の出没個体では遺伝構造は見られなかった。大量出没の翌年には遺伝構造が回復していることから、大量出没時の遺伝構造は一時的なものであり、次世代への遺伝構造には影響しないことが示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 九州で最後に捕獲されたツキノワグマの起源2010

    • 著者名/発表者名
      大西尚樹、安河内彦輝
    • 雑誌名

      哺乳類科学

      巻: 50 ページ: 177-180

    • 査読あり
  • [学会発表] ツキノワグマの大量出没によって遺伝構造はどう変わるか?2011

    • 著者名/発表者名
      大西尚樹、湯浅卓、森光由樹、大井徹
    • 学会等名
      日本生態学会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道)
    • 年月日
      2011-03-11
  • [学会発表] 九州で最後に捕獲されたツキノワグマは九州産ではなかった2010

    • 著者名/発表者名
      大西尚樹、安河内彦輝
    • 学会等名
      日本哺乳類学会
    • 発表場所
      岐阜大学(岐阜県)
    • 年月日
      2010-09-18
  • [学会発表] The shift in genetic structure due to seasonal intrusion in a black bear population2010

    • 著者名/発表者名
      大西尚樹、湯浅卓、森光由樹、大井徹
    • 学会等名
      American Genetic Association Annual Symposium
    • 発表場所
      ハワイ大学(ハワイ島)
    • 年月日
      2010-07-26
  • [図書] 個体群のなりたちと遺伝的構造-東日本と西日本を比較する(山崎晃司・坪田敏男(編):日本のクマーヒグマとツキノワグマの生物学)2011

    • 著者名/発表者名
      大西尚樹
    • 総ページ数
      189-208
    • 出版者
      東京大学出版会
  • [備考]

    • URL

      http://www.ffpri.affrc.go.jp/press/2010/20100906/index.html

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公開日: 2012-07-19  

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