研究課題
非可食資源である木質からのバイオ燃料製造の各工程については、リグニンが多糖を被覆していること、及び木質成分が全体として強固な集合構造を形成していることなど、木質成分の構造上の問題に起因して糖化が著しく阻害されている。そこで、本研究ではバイオ燃料製造に適する木質の作出を目的として、木質形成代謝の統御ネットワーク機構解明に基づいて、木質細胞壁成分の量、構造、及び全体の存在状態を制御することにより、高効率糖化を可能とする木質バイオマスの作出に向けた研究を遂行してきた。今年度は、これまでのシロイヌナズナを用いた木質形成統御遺伝子の機能解析研究を実用植物へ展開する研究を昨年度に引き続いて行った。実用植物であり、イネ科バイオマス植物のモデルでもあるイネを使って、昨年度実施した共発現遺伝子ネットワーク解析により見出された4種類のMYB転写因子につき、デュアルルシフェラーゼアッセイを用いて、代表的な二次壁成分(セルロース、ヘミセルロース、リグニン)の合成酵素遺伝子(CesA, GT43B、CAldOMT)に対する転写活性を調べた。その結果、3種類の転写因子は、セルロース合成酵素遺伝子(CesA)に対する転写活性を示した。この3種類の転写因子のうちの1つは、シロイヌナズナにおいてリグニン生合成を特異的に制御すると示されているMYB転写因子のイネオーソログであると考えられるため、イネとシロイヌナズナでは、二次壁成分生合成遺伝子に対するMYB転写因子による転写制御機構が異なっている可能性が考えられる。また、転写因子遺伝子の発現を制御した形質転換イネの細胞壁成分分析と酵素糖化効率を求め、形質転換木質バイオマスのバイオ燃料化に対する適性を評価した。以上を総合的に解析することにより、リグニンの量と構造が酵素糖化性に及ぼす影響に関する基本的知見が得られ、今後の分子育種に対する指針が得られた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plant Biotechnology
巻: 30 ページ: in press
not determined
巻: 30 ページ: 25-35
10.5511/plantbiotechnology.12.1127a
巻: 29 ページ: 419-423
DOI:10.5511/plantbiotechnology.12.0627a
http://www.rish.kyoto-u.ac.jp/W/LMSFPM/