研究課題/領域番号 |
20380105
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
桃原 郁夫 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, チーム長 (60222345)
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研究分担者 |
太田 祐子 独立行政法人森林総合研究所, 男女共同参画室, 室長 (60343802)
西村 健 独立行政法人森林総合研究所, 木材改質研究領域, 主任研究員 (10353799)
高畑 義啓 独立行政法人森林総合研究所, 九州支所, 主任研究員 (60353752)
山口 岳広 独立行政法人森林総合研究所, 北海道支所, チーム長 (00353897)
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キーワード | 空中浮遊菌 / 腐朽 / 腐朽リスク / エアサンプラー / 住宅 / 外断熱 / 含水率 |
研究概要 |
空中に浮遊している菌類(空中浮遊菌)が木製ガードレールや木製遮音壁、あるいは住宅の土台や柱等、地面に直接接していない木材(非接地条件下におかれた木材)に付着し、そこで菌類が活動を始めることによって引き起こされる腐朽リスクを解析する目的で研究をおこなった。腐朽リスク解析のための空中浮遊菌サンプリングは、北海道札幌市、茨城県つくば市、熊本県熊本市の3箇所にておこない、原則として週4回のサンプリングを1年間にわたって実施した。サンプリングは初年度に確立したスギ円盤を用いる方法によっておこない、1000リットルの空気中に含まれる空中浮遊菌をスギ円盤に付着させた。このスギ円盤を26℃に保った容器内で20週間培養し、培養前後の質量変化から空中浮遊菌のスギ円盤腐朽力を算出した。 質量変化を測定した結果、札幌市、つくば市、熊本市、いずれの地域であっても、スギ円盤の含水率が腐朽力に与える影響が大きいこと、その腐朽力には地域差がほとんど認められないこと、平均気温が0℃以下になる冬期の札幌市であっても、木材腐朽性の空中浮遊菌が空気中には存在していることなどが明らかになった。 住宅の品質確保の促進等に関する法律などでは、北海道・青森の腐朽リスクを小さく見積もり、保存処理の基準を本州以西と較べ低く設定しているが、本研究の結果は北海道から九州まで空中腐朽菌による腐朽リスクには大きな差が無いことを示し、北海道・青森においても断熱層内側の構造部材については、本州以西と同等の腐朽リスクに曝されていることを明らかにした。 本研究の結果は、品確法などが採用している建築地によって異なる保存処理の性能区分を見直す必要があることを示唆した。
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