研究課題/領域番号 |
20380106
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
谷口 和也 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40282082)
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研究分担者 |
吾妻 行雄 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (50292256)
李 景玉 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (60419231)
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キーワード | マコンブ / フシスジモク / 生活年周期 / 成長 / 成熟 / 水温 / 栄養塩 / 光合成 |
研究概要 |
褐藻マコンブの分布南限域である松島湾における2005〜2007年のマコンブの生活年周期データを整理し、海中林の維持機構を推定した。2005年には3月の発芽期、4〜8月の成長期、9月の肥厚充実期、10月の成熟期に、2006年には4月の発芽期、5〜6月の成長期、7〜9月の肥厚充実期に分けられ、成熟期が認められなかった。既往の知見と比較すると、発芽期は3〜4ヵ月遅く、生育期間は5〜6ヵ月も短かった。また、成熟期が極めて短い、あるいは認められない年もあるため、繁殖に成功していない。マコンブは、地球温暖化によって松島湾における生育に不適な海況条件が長期に持続していると考えられ、今後分布南限が北退する可能性が高い。 主に日本海に分布する褐藻フシスジモクの年間の成長と成熟に及ぼす水温と栄養塩の影響を各月12日間の生長点培養によって明らかにした。フシスジモクは、5〜30℃では栄養塩欠乏条件であっても死亡することなく成長したが、35℃では死亡した。どの季節においても水温15℃がもっとも良く成長した。成長速度は1〜5月で高く、11月がもっとも低かった。光合成速度は、成長速度の季節変化と等しく推移した。5月には、富栄養条件では10℃で60%、15〜30℃で80〜100%の成長点に生殖器床が形成された。栄養塩欠乏条件では生殖器床を形成する生長点は富栄養条件よりやや少なかった。天然個体では7月に生殖器床の形成が認められるので、培養による生殖器床の形成は2ヵ月早い。以上の結果、フシスジモクはコンブ目褐藻と比較して高水温にも、貧栄養にも耐えることが明らかになった。今後多くのヒバマタ目褐藻とコンブ目褐藻の水温と栄養塩濃度に対する生理生態学的特性を把握することにより、海中林形成条件を種ごとに明らかにする必要がある。
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