研究課題
基盤研究(B)
高水温・貧栄養な海況が継続する現在、世界的規模で海中林が衰退・消滅している。私たちは海中林の形成と維持における栄養塩環境の重要性を検証するために、海中林構成種の培養実験と現場における栄養塩添加実験を行った。培養実験においては、海中林を構成するヒバマタ目褐藻エゾノネジモクとフシスジモクの成長速度と死亡率に対する水温と栄養塩濃度の複合的な影響を調べた。2種ともいずれの季節にも5~30℃では栄養塩欠乏条件であっても成長したが、35℃では死亡した。コンブ目褐藻カジメの幼体は富栄養条件では水温28℃でも生育するが、栄養塩欠乏条件では28℃以上の水温では12日以内に全個体が死亡することが報告されている。したがって、フシスジモクとエゾノネジモクはコンブ目褐藻カジメと比較して高水温にも、貧栄養にも耐えると考えられる。現場における実験では、北海道沿岸の磯焼け域に栄養塩を添加する実験区と添加しない対照区を設置し、11月にマコンブ種苗を巻き付けた養殖ロープを垂下した。実験区では、養殖ロープには1月から移植マコンブが着生し、2月から海底にもホソメコンブが生育したが、対照区では移植マコンブが死亡し、ホソメコンブも観察されなかった。したがって、コンブ目褐藻海中林を形成させるためには栄養塩添加が必須の要素技術になる。今後は、コンブ目褐藻とヒバマタ目褐藻の栄養要求量を生育過程に対応させて明らかにし、効率的な栄養塩添加技術を開発する必要がある。
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