トラフグ遺伝子の位置情報の詳細な同定非モデル魚類の遺伝子のゲノム上の位置を精度高く推定するためには、遺伝子のシンテニー関係のみではなくジーンオーダーも明らかとなった2種類の魚類ゲノムが必要である。メダカのゲノム概要配列やは全ゲノムの80%弱のジーンオーダーが決定されており、他のモデレ魚類のデータはこれに遠く及ばなかった。本研究では、大規模トラフグ家系を利用して、ターゲットマーカー連鎖解析法により、トラフグ全ゲノム概要の72%のジーンオーダーを決定した。このジャンオーダーの決定率はゲノム概要が公開されている魚類の中で2番目の高さである。本研究から得られたトラフグ遺伝子の位置情報により、Ensemblにおけるトラフグゲノムデータはversion5へと更新される。 トラフグのゲノムデータを用いた比較グノム解析上記で得たトラフグ遺伝子の位置情報をメダカ、ゼブラフィッシュのそれと比較し、ゲノム構造が保存されている領域を同定して、全ゲノムに渡り視覚化した。また、両者のパターンの差を最節約的に説明する染色体再構成過程を推定した。さらに、このデータに、ヒト、マウス、オポッサムのゲノムデータを加えて、染色体再編成速度を算出したところ、棘鰭上目のゲノムは年代を経ると共に染色体間および染色体内再編成速度が遅くなり、哺乳類や無脊椎動物とは異なる固有の染色体進化パターンを示すことが分かった。
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