研究課題
相模湾長井沿岸において、潮下帯最上部から水深8mに形成された無節サンゴモ群落、有節サンゴモ群落、テングサ群落、ヒジキ群落内に生息する甲殻類を周年にわたり定量的に採集し、直底直後から成体まですべての発達段階について種同定を行った。その結果、66種と8分類群(種同定されなかった複数種を含む)の甲殻類が確認された。この中には、過去の採集記録が少なく稀種と考えられていたものが多数含まれた。また、本研究によって、ツノカルイシコブシが相模湾において初めて記録され、ムツハマメツブガニ、ヒメシワオウギガニおよびマメガニダマシが相模湾東岸にも生息することが明らかになった。各海藻群落内の甲殻類全体の個体数密度は小型巻貝類に次いで高く、183~238個体/m^2の範囲で季節的に変動した。個体数密度や種組成の季節変動傾向は海藻群落によって異なっていた。12種および5分類群が、いずれかの海藻群落内において甲殻類全体に占める個体数密度の割合が平均10%以上を占める優占種とされた。これらの優占種について、各海藻群落内における個体数密度や体サイズ、発達段階の経月変化を詳細に解析し、出現動態を明らかにした。上記の海藻群落内に生息する甲殻類各種とその他の動物種、および海藻類藻体、藻体上に付着・堆積した有機物について、炭素および窒素の安定同位体比を測定し、甲殻類各種の主餌料および主要な捕食者を推定した。その結果、多くの甲殻類種が海藻の藻体上に付着もしくは堆積したデトリタスを主餌料にしていると考えられ、サザエやアワビ類の稚貝などを含む他の大型動物種を主な餌料として捕食している可能性は低いと推察された。また、ほとんどの種が群落の主要構成種である海藻類を主餌料とはしておらず、海藻群落は生息場もしくは索餌場として利用されていると考えられた。
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