研究概要 |
血球凝集因子を活性化する酵素TGaseの標的としたRNA干渉により、血球凝集が抑制されたクルマエビを作出し、このクルマエビ血球における遺伝子発現変動について、我々が開発したクルマエビ類の遺伝子発現解析用マイクロアレイにて約2,000種類の遺伝子発現変動を調べたところ、いくつかの免疫関連遺伝子において発現に変化が見られた。このことから、血球凝集システムと免疫関連遺伝子発現制御に何らかの関連があることが分かり、今後、エビ類の免疫研究に重要な情報を得ることが出来た。 クルマエビよりクローン化した抗菌タンパク質(Crustin、Penaeidin、 Lysozyme)遺伝子のサイレンシングを行ったところ、病原微生物の感染無しにクルマエビの斃死がみられたことから、抗菌タンパク質は通常のエビの生存に重要な因子であることが示唆された。さらに、これら遺伝子のサイレンシング後に血中の細胞数が減少することと、血中の細菌が増加していることが分かった。これらのことより、抗菌タンパク質は体内に侵入して来た細菌の増殖抑制に重要であることが示唆された。 2本鎖RNAを接種したエビは非特異的に病原微生物に対してある程度の耐性を示すことから、2本鎖RNAを接種したエビ血球で特異的に発現上昇が見られた遺伝子のcDNA断片をクローン化し、塩基配列を決定した。決定した塩基配列は既知の配列とは相同性が見られなかったことから、新規遺伝子であることが示唆された。
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