研究概要 |
1Dinophysis属2種の毒生産に及ぼす温度の影響Dinophysis fortiiとD.acuminataの2種に繊毛虫Myrionecta rubraをそれぞれ餌料として与えた時の増殖と下痢性毒(ディノフィシストキシン[DTX]1、オカダ酸、ペクテノトキシン[PTX]2)の生産に及ぼす培養温度の影響について検討した。各温条件区(10、14、18、22℃)においてD.fortiiは最大650〜4,000細胞/mLまで、D.acuminataは1,700〜4,200細胞/mLまで増殖した。両種とも今回設定した温度区では、高温ほど良好な増殖を示した。培養されたD.fortiiおよびD.acuminataから主要毒3成分がすべて検出され、培養日数の経過とともに指数関数的な増加が見られた。D.fortiiの場合、生産された毒濃度はPTX2で250-1,000ng/mL、オカダ酸で8.5-135ng/mL、DTX1で1.0-6.0ng/mLの範囲であった。D.acuminataの場合、PTX2で200-430ng/mL、オカダ酸で16-120ng/mL、DTX1で1.2-3.8ng/mLの範囲であり、いずれも高温ほど生産量が高くなる傾向が認められた。オカダ酸・DTX1の産生量は、両種の間に有意な差がなかったが、PTX2では約2倍程度D.fortiiの方が多かった。 2北海道・東北から分離した天然のDinophysis属プランクトンの毒組成 北海道・東北海域のDinophysis属プランクトンを単離し、毒組成を解析した結果、同一海域の同一種間の毒組成や毒量に大きな差異があることが明らかになった。また、培養したD.acuminataからオカダ酸やPTX群に加えて、複数のオカダ酸ジオールエステル群を検出し、LC-MS/MS分析により化学構造を解析した。
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