研究概要 |
2008年度に作成した水路ネットワークDBから2つのかんがい用水路システムのネットワークを選定し,ネットワーク単位のファイル分割,水路切断箇所の接合,ループの切断,微細部の削除等の処理を行って「用水路網接点・端末処理および解析用水路GISデータ」を作成したのち,用水路網の最上流点/分岐点/末端の点のノードとノード間の水路のエッジからなるGISデータを整備し,用水路網の上流から水(全体量Q)を流したとき各エッジの両端(ノード)で流水量を求めてエッジの属性とするとともに,10mメッシュ(相当)DEMデータを使用して各エッジの両端が近接するメッシュの値を属性値,各エッジの長さと両端ノードの標高差からエッジ勾配を求めて格納して「10mメッシュ標高・流量配分情報付きネットワークデータ」作成した。つぎに,かんがいシステムの最上流点の単位取水量に対応する各エッジの流量を求めるロジックを検討して,各エッジの流量を配分し,この各エッジ流量とエッジ両端ノードの標高差を用いてエッジごとの水力ポテンシャルを計算する手法を開発した。 さらに,選定した水路ネットワークに一つである栃木県那須野ヶ原土地改良区連合が管理する用水路システムを対象に,代表的な水路を選定して,水路構造および流況等の調査を行い,流量・勾配と水路構造の関係や開発可能地点の検討などを行ったうえで,実態に即した小水力開発ポテンシャルを推計し,GISデータを用いた計算結果との比較を行った。その結果,幹線に関してはGISデータによる計算結果が許容できる範囲にあると判断されたが,支線に関してはエッジを分割する必要があると考えられた。 また,ドイツにおける小水力利用実態調査の成果をとりまとめ,技術的・制度的課題について検討し,技術報告としての取りまとめを行うとともに,環境省が実施している小水力包蔵力調査に対し,開発した手法の応用に関する助言等を行った。
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