研究概要 |
前年度までに作成した水路ネットワーク・データベースを用いて,ネットワーク単位の分割,ループの切断,微細部処理等を行い「用水路網接点・端末処理および解析用水路GISデータ」を作成し,用水路網の接点(ノード)とノード間リンクGISデータ整備,各リンクの流量配分比計算と10mメッシュ(相当)DEMデータによる標高属性値格納をおこなって,「10mメッシュ標高・流量配分情報付きネットワークデータ」を作成した。次に,このネットワークデータを用い,水路長に応じて流量が減少すると仮定した用水路の小水力ポテンシャル推計手法を開発して,実在の用水システムに適用して小水力ポテンシャルを推計した.手法の妥当性を評価するために,水路の縦断線形と計画流量から小水力開発可能量を求め,比較した。起点流量を与えて求めた小水力ポテンシャルは縦断線形と計画流量から求めた開発量の88%となったが,用水システム全体で水路長に応じて分水した分岐水路では30%であった。このような結果から,開発した手法は複雑な用水システムの個々の分岐水路ポテンシャルの推計には適していないが,適切な起点流量や分水量の付与ができれば,許容可能な水準で対象水路網の小水力ポテンシャルを推計することができる手法であると考えられた. さらに,農業用水路の小水力ポテンシャルを同時・広域的に把握する手法開発のために,リモコンヘリによる空撮を行い,水路水位面高の推計プロセスを検討した。その結果,各水路について数カ所の主要点標高があれば,広域的な水路水面高を推定できると判断した。今後は,水面高と水路データから,同時・広域的に流量と小水力ポテンシャルを推計する手法開発に取り組む予定である。この他,各地の農業用水の取水データを収集し,データベース化した。
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