研究概要 |
本年度は、平成20年度に実施した高精表面波探査装置(応用地質(株)製:平成20年度主要設備備品)を用いた、岡山市内ため池におけるカケヤ加振によるS波速度計測結果を解析した。 一般に,堤体の強度は,標準貫入試験結果のN値から推定される.平成21年度は,簡便なスウェーデン式サウンディング(SWS試験)結果に基づき値のN値分布の推定を行った.SWS試験は,高密度に強度分布を得ることができるが,点推定値であるため,空間的な強度分布を得ようとした場合,補間を行う必要がある.本研究では,補間法として,地質統計学の一手法であるインディケータシミュレーション法を用いた.さらに,その補助情報として,平成20年度より計測を行ってきた表面波探査結果を用い,2種類の情報の合成によって,より詳細な堤体強度の空間分布を得る方法を提案した. 一方、地盤工学におけるデータ同化プログラムの開発を行い、計算機内で発生させた人工的な観測値を用いて解析精度を検討した。次いで、土構造物に関する実施工観測の例として、神戸空港人工島護岸工事における沈下記録を取りあげ、実観測値を用いた土構造物のデータ同化を実施した。人工島基礎でサンドドレーンにより改良した粘土層に関するパラメータ同定を、データ同化の目的とした。具体的には、オリジナルCam-clayモデルのパラメータのうち、圧縮指数λ、透水係数k、破壊時の応力比Mを対象とし、施工開始から一定期間における4点の基礎表面沈下記録を用いたデータ同化を行った。施工観測に鑑みた設計再計算値との比較を行い、データ同化が予測精度の向上を可能とすることを明らかにした。これらの解析結果は、平成22年度地盤工学研究発表会・農業農村工学会大会・第59回理論応用力学講演会にて口頭発表するほか、応用力学論文集にも投稿した。
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