研究概要 |
平成21年度は、環境刺激の要因として光環境を取り上げ葉菜類を対象として光質が光合成速度および形態的特徴量に与える影響について検討を行なった。光源には発光ダイオード(Light Emitting Diode ; LED)を用いた。予備実験で評価したレンズのうち一番指向性の弱いレンズ1(Part No. 10196)を用いることとし、これと3原色のLED(赤色(中心波長:627nm)、緑色(530nm)、青色LED(470nm) (Philips Lumileds, 、LUXEON Rebe1))を組み合わせた。栽培に要求される光量と1つのLEDチップからの放射量との関係から1つのヒートシンクにR、G、Bの各LEDを一つずつマウントし、これを3セット用いることで約20cmの高さでPPDF200・・mol m-2 s-1の光量を実現した。各光質ごとの光合成速度の測定は次のような方法を採った。まず測定開始前に1時間にわたって設定PPFDの光を照射してから測定を開始し、その同じ光質で200、150、100・mol m-2 s-1の3段階の光強度でそれぞれ3回ずつ光合成速度を測定し、次の光質に変更してから20分間はその光質および光強度に馴化させて同様に100、150、200・mol m-2 s-1の3段階の光強度でそれぞれ3回ずつ光合成速度を測定した。これを繰り返して12種類の光質のもとでの光合成速度を測定した。 R100およびR80B20において光合成速度が3.14・mol m-2 s-1、R100で3.13・mol m-2 s-1と高い値を示したが、同様に赤色成分を多く含むG20R80では2.95・mol m-2 s-1となり16%ほど低い値となっている。これはBとGの効果の差があらわれたもので、クロロフィルの吸収スペクトルから考えても合理的である。このG20R80は全組み合わせの中では3番目に光合成速度が速く、次にR60B40、G40R60とやはり相対的にR成分が多い光質条件がよい結果となった。逆に光合成速度が最も遅かったのはB100の2.36・mol m-2 s-1であり、実にR80B20の場合と比較して25%の減少となっている。一般に光合成には貢献しないスペクトルとされているG100はB100よりも大きい値2.66・mol m-2 s-1となったことは興味深い。
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