研究概要 |
全国の大規模太陽光利用型植物工場の中から5菜園((有)いわき小名浜菜園(福島県),世羅菜園(株)(広島県),加太菜園(株)(和歌山県),(有)四万十みはら菜園(高知県),響灘菜園(株)(福岡県))のトマト群落を対象として群落光合成機能の測定を行った。同一品種・同一作型のトマト群落を対象とした群落光合成機能の同時期測定では,菜園ごとに光合成機能は大きく異なっていることがわかった。例えば,いわき小名浜菜園の個葉の最大光合成速度は,加太菜園のそれの1.5倍であった(CO_2濃度1500mol mol^<-1>の条件下)。これは,各菜園における気象条件やCO_2施用などの栽培管理の違いによるものと考えられる。また,群落光合成機能の季節変化を評価するため,世羅菜園,四万十みはら菜園の同一品種・同一作型のトマト群落を対象として,群落光合成機能の測定を行った結果,群落光合成機能が季節変化することが確認され,さらにその変化の程度が菜園で異なることがわかった。このような測定を研究期間中継続して行った結果として,複数の菜園間で作物群落の光合成機能を比較することで, 各菜園の群落光合成機能をより客観的に評価でき,生産性向上へ向けたより効果的な栽培管理計画の策定が可能になること,群落光合成機能測定も含めた植物生体情報計測を標準化し,菜園間で植物生体情報を共有するための基盤整備が必須であることなどが明らかとなった。
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