研究課題/領域番号 |
20380142
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研究機関 | 独立行政法人国際農林水産業研究センター |
研究代表者 |
小沢 聖 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 熱帯・島嶼研究拠点, 島嶼生産環境プロジェクトリーダー (40360391)
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研究分担者 |
桑形 恒男 独立行政法人農業環境技術研究所, 大気環境研究領域, 主任研究員 (90195602)
藤巻 晴行 鳥取大学, 乾燥地研究センター・緑化保全部門, 准教授 (90323253)
一柳 錦平 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (50371737)
登尾 浩助 明治大学, 農学部, 教授 (60311544)
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キーワード | 作物 / 水蒸気 / 地温 / 同位体比 / 東北タイ / 土壌水分移動 / 溝底栽培 / 有効利用 |
研究概要 |
東北タイの集落外の深さ20mの家庭用井戸から2009年12月8日から毎週、水をサンプルし、少量の塩酸を加え日本に持ち帰り、硝酸態窒素濃度を分析した。また、集落から3kmほど離れた凹地形に位置する天水田の畦に深さ1.5mの井戸を掘り、同様に水をサンプルし、硝酸態窒素濃度を測定した。家庭用井戸の硝酸態窒素濃度は、7月末まで平均0.9ppmで変化は少なく、その後、10月には6ppmまで急激に上昇し、2011年2月に1ppmまで低下するピークを示した。10月のピークは、雨期開始に4ヶ月遅れた。水田の地下水は5月下旬まで平均0.1ppmと極めて低く推移し、9月上旬から11月下旬にかけて3ppm前後で推移、3月に1ppmまで低下した。深さ20mの井戸水と水田下の水盤水の起源を解析するために、これらサンプル水の同位体比を、降水の同位体比とあわせて分析中である。 水田が落水した2010年11月から2回/月、深さ20、30、40、50、70cmの土壌水を3時間ごとに24時間、サンプルし、硝酸態窒素濃度を井戸水と同様に測定した。全てのサンプル日、深さで硝酸態窒素濃度の日変化はみられなかった。11月には深さ30cmで4ppmと最も高く、次いで20cmで2ppm、40cm以深では1pp以下で深いほど濃度は低下した。12月になると深さ30cmの濃度が低下し、1月上旬には深さ30cmが20cmより低くなり、2月には深さ20cmで0.5ppmと最も高く、深さ30cm以深ではほぼ0ppmで、濃度差がなくなった。この結果は、11月までは深さ30cmに硝酸態窒素が集積したことを示し、この集積が水蒸気態移動によることが示唆される。水蒸気態移動に量的に評価するために、これらサンプルの水の同位体比を分析中で、地下水位と地温変化との関係から水蒸気態移動のモデル化に活用する。
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