研究概要 |
次の三つのタスクフォースを組織し,小島陽一郎(HAT株式会社・精密農業研究部長)を連携研究者として研究代表者のもとにおき,研究推進した。実施結果は次の通りである。 (1)知財の解析:澁澤,小島,荻原(研究協力者:農工大TLO,正林特許事務所) 広く文献収集し,「知的財産権を用いた農業保護と活性化についての調査研究」(H16,特許庁研究事業,高知大学)と「農林水産分野の特許等技術の流通可能性の調査委託事業報告書」(H19農林水産省大臣官房委託事業,農林水産技術情報協会)の2点を参考資料として取り上げることにした。農業ノウハウ保護の手法として先使用権立証のための証拠力を高める方策を検討し,公証制度の利活用が重要であると判断した。 (2)農法解析:澁澤,南石,荻原,千葉(研究協力者:GAP普及センター) 農法5大要素(作物,ほ場,技術,農家の動機,地域システム)の情報化を基礎にした農作業決定支援に関する特許が登録された。この特許は,プロ農業者の思考・判断プロセスを明示されたアルゴリズムと手続きにおきかえ,暗黙知の形式知への転換を図るものである。当初の実施計画を変更し,より高いレベルの「知識マネジメントシステム」から農法解析を実施できるようになった。 (3)社会実験:澁澤,荻原,南石,千葉(研究協力者:本庄PF研究会,大丸浦和パルコ店) 本庄精密農法研究会の高品位野菜を大丸浦和パルコ店で販売する社会実験を実施し,農家,農協,行政,流通業者,小売店,消費者など,本件に関わる多様な利害関係者からヒアリング及びアンケート調査を実施した。地域ブランド農産物に対しては,生産者,流通業者,小売店,消費者が異なるニーズと動機のあることがわかり,詳細な解析を進めつつある。
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