研究課題/領域番号 |
20380146
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小林 泰男 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (50153648)
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研究分担者 |
小池 聡 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (90431353)
永西 修 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所, チーム長 (20355069)
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キーワード | ルーメン / メタン / プロピオン酸 / カシューナッツ殻油 / 選択的抗菌性 / 真正細菌 / 古細菌 / 菌叢 |
研究概要 |
新規メタン低減物質カシューナッツ殻油の作用機序について、ルーメン微生物学的観点から解明・検証し、ウシに実際に給与した場合のメタン低減効果発現の仕組みに関する科学的基盤を形成することを目的とした。 ホルスタイン種乾乳牛3頭に配合飼料および乾草を給与し、最初の2週間を対照期、次の2-4週間をカシューナッツ殻油給与期(4g/100kg体重)とし、2回の実験を行なった。各期の最終日にルーメン液を採取し、RNAを抽出した。16S rRNA(真正細菌)およびmcrA(古細菌)遺伝子を標的にcDNAを合成後、PCR増幅させcDNAライブラリーを作成した。ライブラリー構成員の配列を常法により編集・分別し、カシューナッツ殻油の影響を評価した。 計2154配列を解析に供した。真正細菌ではカシューナッツ殻油給与によりプロテオバクテリアに分類される細菌の検出頻度が高まった。プロテオバクテリアの中でも、Succinivibrio dextrinosolvensやRuminobacter amylophilusの増加が明確で、これらはいずれもプロピオン酸生成に関連する菌である。古細菌では、カシューナッツ殻油の給与にともないMethanomicorobium mobileの増加が顕著だった。本菌はグラム染色すると陰性に染まり、細胞膜構成成分がシュードムレインを主成分とするMethanobrevibacter ruminantiumなどの常在メタン菌と特性が異なることが予想される。これらの情報は、カシューナッツ殻油が真正細菌ばかりでなく、メタン生成古細菌にも選択的に作用し、菌叢を変化させていることを強く示唆している。 以上より、カシューナッツ殻油の給与はウシルーメンの真正およびメタン生成古細菌叢に変化をもたらし、それらが複合的に作用した結果、プロピオン酸増強とメタン低減が生じると考えられる。
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