研究概要 |
安全な反芻家畜からのメタン及び亜酸化窒素温室効果ガス低減法の確立と窒素資源再循環による亜酸化窒素抑制対策の機能を有するソリューションについて検討した。 1.インベントリー開発のためのメタン及び亜酸化窒素低減効果評価 平成20年度に引き続き、インベントリーの培養評価系を用い、候補としてあげたプロバイオティクス及びプレバイオティクスの温室効果ガス抑制効果を解析するとともに、本年度とくにプレバイオティクスとして着目した特定乳酸菌Lactobacillus plantarum YUA1490Lの生成する抗菌性物質についてはルーメンフローラDNAシークエンス解析を実施し、ソリューションの相対評価を行った。とくに生成ガス、有機酸及び酸化還元電位の変化を中心にルーメンフローラ代謝系の物理・化学性状について影響を評価した。その結果、Lactobacillus plantarum YUA1490Lの生成する抗菌性物質に顕著なメタン抑制効果が認められ、PCG解析の結果、ルーメンプロトゾア表面に寄生するグラム陽性のメタン生成菌Metbanobrevibacter sp.が顕著に減少することが明らかになった。また本抗菌性物質により真生細菌ではStrptococcussp., Butyrivibrio sp.及びClostridium aminopbilumのグラム陽性菌が増加し、逆に、Prevotella sp., Prevotella ruminicola, Pseudobutyrivibrio sp., Prevotella sp., Succinivibrio dextrinosolvens及びScbwartsia succinivoransの減少が示された。しかし、本抗菌性物質によるルーメンメタン低減効果のメカニズムは乳酸菌が生成するバクテリオシンであるナイシン及び対照区として用いたイオノフォアであるモネンシンとはVFA生成パターンが明らかに異なる結果を示し、水素競合とは全く異なるメカニズムによりメタン生成菌が抑制されたものと示唆された。他方、本メタン解析培養試験では共通基質として高温発酵型バイオガスプラントの発酵消化スラリーからアンモニアストリッピングによって作出したアンモニア処理小麦稈を用いた。この処理により、約8,000ppbの亜酸化窒素濃度の減少が示された。 2.家畜由来温室効果ガス低減法インベントリーの開発スキーム構築 GGAA及びLEARNを通じ、上記GHG低減法インベントリーのCDM申請を検討中である。
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