研究課題
本年度黒毛和種牛における各脂肪組織への脂肪蓄積過程に関する遺伝子プロファイルの比較検討し、各脂肪蓄積部位における脂肪蓄積メカニズムを分子機構で調べた。平成20年度に脂肪蓄積に関連する候補遺伝子から実際脂肪組織間で発現量の差が確認された遺伝子、(1)PARM-1のマウスホモルログ遺伝子(mPARM-1)、(2)Chemerinと(3)Adipogeninについて機能解析を行った。(1)mPARM-1遺伝子は前駆脂肪細胞の分化過程中のPARM-1の発現パターンを調べた結果、mPARM-1の発現がPPARγ2の発現に先行し、脂肪細胞分化初期において急速に増加したことが確認された。siRNAを用いてmPARM-1をノックダウンさせた3T3-L1前駆脂肪細胞では、PPARγ2やaP2の発現量とともに、前駆脂肪細胞分化能の減少が確認された。また、分化した3T3-L1脂肪細胞に脂肪分化を抑制するTNF-αを処理した結果では、PPAR-γ2、Leptin、AdipogeninとともにmPARM-1遺伝子の発現量も減少した。(2)Chemerinは分化脂肪細胞にTNF-α(10ng/ml)を24時間添加した結果、脂質分解を引き起こし、PPARγ2などの脂肪細胞分化関連遺伝子の発現が抑制された。さらにTNF-α添加によりケメリンとその受容体の遺伝子発現量は上昇した。(3)Adipogenin siRNAの導入によりAdipogenin遺伝子がノックダウンされていることが確認された。Adipogenin遺伝子発現のノックダウンによって、3T3-L1脂肪細胞の分化が抑制され、脂肪蓄積が抑制された。以上の結果から、mPARM-1、ChemerinとAdipogenin遺伝子は脂肪細胞分化・形成に関わる重要な因子であることが明らかになった。
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Asian-Australian Journal of Animal Science
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Tohoku J.of Exp.Med.
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