研究課題/領域番号 |
20380153
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
九郎丸 正道 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00148636)
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研究分担者 |
金井 克晃 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (30260326)
大迫 誠一郎 東京大学, 大学院・医学(系)研究科, 准教授 (00274837)
前田 誠司 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10309445)
恒川 直樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (50431838)
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キーワード | Di-iso-butyl phthalate / Di-n-butyl phthalate / Estrogen / Estrogen receptor / TUNEL法 / ステロイド合成酵素遺伝子 / 精巣内テストステロン濃度 / 一日精子産生量 |
研究概要 |
本年度はまず(1)Di-iso-butyl phthalate(DIBP)及びEstrogen〔Estradiol 3-benzoate(EB)、17β-estradio1(E2)〕の若齢ラットへの経口投与試験を実施し、TUNEL法(Apoptosis細胞検出)及びReal Time RT-PCR法(ステロイド合成酵素遺伝子3種の発現量測定)により、DIBPとEstrogenの精巣毒性作用を比較検討した。その結果、TUNEL陽性細胞はDIBP,EBとも投与後6時間で最大であった。一方、ステロイド合成酵素遺伝子の変動は、E2曝露ラットではP450scc、P450c17は減少したが、3βHSD-1に変動がないのに対し、DIBP曝露ラットでは全ての遺伝子で変動が見られたことから、DIBPの作用機序はEstrogenとやや異なることが示唆された。次に(2)Di-n-butyl phthalate(DBP)のEstrogen receptor(ER)との関連性を検討した。DBP、EBのラットへの投与前に、抗Estrogen作用を示すICIを投与し、TUNEL法、Real Time RT-PCR法、及びEIA法(精巣内テストステロン濃度(ITT)の検出)により検討した。その結果、DBP+ICI、EB+ICIでは、DBPないしEB単独投与群に比べ、TUNEL陽性細胞は有意に減少していた。しかし驚いたことに、全ての実験群においてITTは有意に減少しており、同じくステロイド合成酵素mRNA発現量も減少していた。以上からDBPはERを介してApoptosisを誘導することが示唆された。さらに(3)精巣毒性の指標として重要な一日精子産生量の測定法に改良を加えた。従来の手法では精巣をPBS中でhomogenizeし、それを直接測定に用いていたが、新たな手法ではhomogenize後にcollagenase及びtrypsin-EDTAを添加してincubateし、さらにsodium dodecyl sulfateを加えた後、撹拝し測定した。その結果、精子は集塊を作らず、より正確な測定が可能となった。
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