研究課題
プラスティック製品の可塑剤として広く利用され、環境への溶出が懸念されているdi(n-butyl)phthalate(DBP)及びdi-iso-butyl phthalate(DiBP)の精巣への毒性作用機序について検討した結果、以下の成果が得られた。まずDBPであるが、1)DBPを3週齢ラットに投与後、アポトーシス精細胞数の有意な増加が見られたが、精巣内テストステロン濃度(ITT)及びステロイドホルモン合成酵素の発現レベルは対照群とほぼ同一であったことから、ITTはDBPによる精巣萎縮に関与しない可能性が示唆された。2)DBP投与後のアポトーシス精細胞数の増加とセルトリ細胞内のビメンチンフィラメントの崩壊との間に相関が認められた、ビメンチンの崩壊によりセルトリ細胞の支持を失った精細胞の脱落が起こり、アポトーシスに陥ることが示唆された。3)DBP投与ラットで、LH、FSHの減少、ステロイドホルモン合成酵素の発現レベルの減少、並びにITTの減少が確認された。一方、DiBPについては、1)精巣毒性にマウスとラット間で種差が存在した。2)3週齢ラットの精巣組織および単離培養したセルトリ細胞を用いて、in vitro条件下でのDiBPの直接的な精巣への影響について検討したところ、DiBPは有意に精細胞のアポトーシスを引き起こし、またステロイドホルモン合成酵素mRNAの変化は曝露群において認められなかったことから、DiBPの精巣への影響は直接的で、ITTには左右されずに精細胞のアポトーシスを引き起こすことが明らかとなった。
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Reproduction 139
ページ: 427-437
Okajimas Folia Anatomica Japonica 86(in press)
Tissue and Cell (in press)
Anatomia, Histologia, Embryologia (in press)