研究課題
昨年度、高濃度レチノイン酸存在化にマウス未成熟卵子を成熟培養すると、一部の卵子は成熟し、DMSOに対する透過性が向上した。さらに、DMSOをベースとした保存液でガラス化凍結すると、耐凍性も向上した。今年度は、まず、蛍光抗体法を用いてレチノイン酸によってマウス卵子で誘導される水チャンネルを調べた。その結果、高濃度のレチノイン酸存在下で成熟培養したマウス卵子では、水/耐凍剤チャンネルの一種であるaquaporin-9 (AQP9)タンパク質が細胞質内で増加していることがわかった。そこで、マウスAQP9 cRNAをマウス未成熟卵子に注入してexogenousにAQP9を発現させたところ、DMSO等をよく透過することがわかった。したがって、高濃度レチノイン酸は、マウス卵子においてAQP9の発現を誘導することによって、DMSO透過性を向上させ、耐凍性も向上させることが示唆された。しかしながら、高濃度レチノイン酸存在下で成熟したマウス卵子の受精能と発生能を調べた結果、いずれも大きく低下していることがわかった。次に、屠場由来の卵巣から回収したウシとブタの未成熟卵子をレチノイン酸添加培養液で成熟培養し、水と耐凍剤に対する透過性を調べた。いずれの種の卵子も、マウス卵子の1/100以下の濃度のレチノイン酸で培養した場合のみ生存/成熟した。また、水と耐凍剤に対する透過性の向上は見られず、耐凍性の向上も見られなかった。
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