研究課題
ウシ胎盤の主体となる栄養膜細胞の機能をin vitroで検証するため、その幹細胞となる細胞系を効率的に作成する手法を検討し、栄養膜細胞の分化や機能を検証することを目的とした。20年度は、既に確立しているウシ栄養膜細胞系(BT-1)の増殖および胚盤胞の活性化を確認した骨形成因子4(BMP4)を体外受精胚の培養系に添加することにより、幹細胞系の作出が可能かを検証した。また、後年度に予定していたウシ栄養膜二核細胞に特異的に発現する胎盤性ラクトジェン(PL)およびプロラクチン関連タンパク質1(PRP-1)の上流域におけるメチル化状態を解析した。BMP4の添加は、容量依存的に栄養膜細胞の伸展と増殖を高進した。体外受精により得た胚盤胞にBMP4を1-100ng/ml添加、7日間培養し、その後20%牛胎子血清および100μM beta-mercaptoethanolを含むTCM-199培地に同様のBMP4を添加して6日間継続培養した後、継代維持培養を続けた。添加容量にかかわらず、約80%の受精胚は培養皿に接着、伸展した。その効率は約80%と無添加区の60%に比較して高かうた。また、その後の細胞増殖速度や増殖効率は無添加区に比べ高く、長期間継代可能なウシ栄養膜細胞系の策出を促進するものと推察された。BT-1細胞を用いた栄養膜細胞系特異的な遺伝子PLおよびPRP-1の上流域のメチル化動態をバイサルファイト法および脱メチル化剤を用いて検証し、両遺伝子は同じ細胞に発現するが、メチル化状態を変化させた結果は、両遺伝子の発現調節にるメチル化の関わりが異なることが示唆された。このことはウシ栄養膜細胞の分化とこれら鐘伝子の発現との関わりを検証する有用なツールおよび情報を提供する。
すべて 2009 2008
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BMC Mol Biol 10
ページ: 19(1-14)