研究課題
本年度は以下の項について検索し、新しく確立したウシ栄養膜幹細胞系の特性検証が達成できた。1)新規ウシ栄養膜細胞幹細胞系の特性評価前年、20年度に確立した新たなウシ栄養膜細胞系作出方法により、12細胞系を確立、継続して培養、細胞特性の解析に用いた。インターフェロン・タウ(IFNt)、プロラクチン関連たんぱく質(PRPs)、胎盤性ラクトジェン(PL)、CDX2などの発現から、抽出した12の細胞系は大別して3分類した。これら12細胞系はいずれも30代以上の継代および凍結保存が可能であり、長期の継代可能な細胞群であることが明らかとなった。また、これらの細胞は形態学的および上記のたんぱく質発現から、既確立ウシ栄養膜細胞系、BT-1と異なる特性をあわせもつ細胞であることが判明し、今後の研究遂行の対象細胞と重要な要因を内在すると推測される。2)細胞譜系の検証胎盤栄養膜細胞を密度勾配遠心法で採取し、分画層における細胞の特徴を解析し、分画層の上層に主としてdiploid、下層にtetraploidおよびhexaploidの細胞を確認した。各画分における細胞を比較すると、核相が同じであっても異なる特性を有しており、未分化で幹細胞と推測される細胞は、上層のdiploid群に含まれることが、確認できた。また、確立した細胞系の1種には他の細胞系と異なり、未分化マーカーのSOX2を発現する細胞が認められ、今後のウシ栄養膜細胞譜系検証のモデルとして有用であると推察された。3)増殖、分化と多核化要因の検証多核化要因を検証するため、新しく確立したウシ栄養膜細胞の多核化を試み、既知の細胞系、BT-1細胞と同様にコラーゲンゲル上での誘導が可能であることが判明した。また、その効果は少なくとも1週間以上の培養によりより効果的であることが確認できた。この確認できた誘導系と他基質の検証および遺伝子発現を抑制する手法を検討することから分化を調節する要因の有効な検証が可能であると推察された。
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BMC Developmental Biology 10
PLoS ONE 4(6)
Biol Reprod. 80
ページ: 1223-1231