研究課題/領域番号 |
20380161
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
本道 栄一 山口大学, 農学部, 准教授 (30271745)
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研究分担者 |
木曾 康郎 山口大学, 農学部, 教授 (10142374)
水上 洋一 山口大学, 総合科学実験センター, 教授 (80274158)
吉国 通庸 九州大学, 農学部, 教授 (50210662)
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キーワード | 胚着床 / マウス / 脱落膜化 / スペーシング |
研究概要 |
本研究は、マウスをモデルとして胚着床の全貌を明らかにするものである。本年度は、胚着床期におけるプロジェステロン受容体複合体形成制御機構の解析および、作製した抗体(抗LIF抗体、抗アグリン抗体、抗アセチルコリン受容体抗体)を用いたマウス胚着床の制御法の確立を行った。また、胚のスペーシング制御因子を同定するための実験システムの開発を行った。プロジェステロン経路の研究に関しては、Blue-Native PAGE-ウエスタンブロット法を用い、プロジェステロン受容体複合体の分子量を測定した。結果、着床期、非妊娠期に関わらず、分子量は約900kDaであることが明らかとなったが、活性化前後の複合体を分離することはできなかった。これは活性型複合体の存在比が小さいこと、もしくは活性化に伴う複合体構造の変化が分子量の顕著な増減を伴わないことに起因する可能性がある。そのため、プロジェステロン受容体複合体の構造に対するLIFの影響を評価するには、個々の複合体構成要素を標的とした調査がより有効であると考えられた。マウス胚着床の制御法の確立に関しては、作製し(免疫動物ウサギ)、精製した各種抗体(免疫グロブリン分画)を、妊娠3日齢より毎日1回ずつ3日にわたって腹腔内投与した。結果、抗LIF抗体を投与したマウスでは100%の着床抑制が認められた。正常ウサギlgGを投与しても胚着床は全く影響を受けないことから、本方法が、胚着床の制御法ひいては、特定分子の胚着床に及ぼす影響を調べる有効な手段となりうることが示された。さらに、抗アグリン抗体を投与すると、胚のスペーシングがかく乱された。また、抗アセチルコリン受容体抗体を投与したマウスでは、約50%の確立で着床の阻害が起きた。このことは神経筋接合部で重要な役割を担っているアグリンーアセチルコリン受容体系が、マウスの胚着床にも重要な役割を持っていることが示された。
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