研究課題
1.胎児期TCDD曝露マウスの化学発癌感受性変化:胎児期TCDD曝露された動物の易発ガン性に関する詳細な解析を行った。妊娠マウスC57BL/6JにTCDDを投与、産仔の雌個体にBaPを連続投与した。病理解剖を実施したところ、BaPを投与した個体すべてにおいて前胃にPCNA強陽性の過形成が認められた。胎児期TCDD処理と対照群との比較したところ、TCDD処理群の形成率のほうが高いことがわかった。また、P32ポストラベル用によるBaP投与後48時間目の前胃ならびに肝臓のDNAアダクト形成率を比較したところ、TCDD処理群の形成率のほうが高いことがわかった。2.CYP1A1プロモーター上のDNA低メチル化が起きる分子機構に関する解析:発見したCYP1A1低メチル化CpGが発生過程のどの時期に生じるのか、E12.5のTCDD曝露後の胎児、新生児、未成熟児の経時的観察を行ったところ、肝臓における低メチル化は生後1日目までは対照群と同じであったが、生後8日目で顕著な差が現れた。このことから、生後数日の間に低メチル化の臨界期があることが示唆された。この観測をもとに、生後1日、2日ならびに3日の肝臓サンプルを用いてDNAメチルトランスフェラーゼ(Dnmts)のうちDnmt1, Dnmt3a, Dnmt3bのCYP1A1プロモーターに対する結合をChIPアッセイで検討した。その結果、すべての生後ステージ、3種のタンパクすべてにおいて、TCDD投与群のほうがCYP1A1プロモーターに対する結合が弱まることが判明した。低メチル化はTCDDによるDnmtファミリーの結合減弱が原因と推察された。
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Genes and Environment
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