研究課題
犬の壊死性髄膜脳炎(NME)の原因を究明し、予防・治療法を確立するために以下の研究を遂行した。1)NMEの家系調査:NMEが好発するパグ犬の1家系について調査し、発症個体がアストロサイト(星状膠細胞)に対する自己抗体を有していることを確認した。ついで、同家系の健康な個体についても検査したところ、抗アストロサイト自己抗体を有する犬が認められ、これらの犬はNME保因犬として経過を観察した。さらに、他のNEM好発家系についても情報を収集し、検体を得ようとしている。2)NMEの病態解析:これまでに蓄積したNME症について、脳脊髄液および血清中の自己抗体を再検索した。その結果、過去に研究代表者が明らかにしたグリア線維性酸性蛋白質(GFAP)に加え、NME症例に共通する自己抗体の標約抗原が6種類程度あることが分かった。これらの抗原の一部については質量分析法で蛋白質の同定を試み、βアクチンや電位依存性アニオンチャンネル蛋白などが標的抗原の候補として挙げられた。これらの蛋白の標品を用い、症の例自己抗体が反応するか否かを検証中である。さらに、他の蛋白質についても同定を進めている。3)NMEの治療法に関する前方視的研究:NMEと新規診断した症例を無作為に3群に分け、ステロイド剤および免疫抑制剤(プレドニゾロン、シクロスポリンA、レフルノミド)の併用療法に関する前方視的研究を開始した。この研究は現在進行中である。
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J. Vet. Med. Sci. 71
ページ: 99-100
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