平成20年度に得られた研究成果は以下の通りである。 1. マウス由来抗イヌIgE抗体の作製:イヌIgE CH3領域のリコンビナント蛋白を免疫原としてモノクローナル抗体を作製したところ、それぞれ反応性の異なる抗イヌIgEモノクローナル抗体を10クローン得ることができた。これらすべての抗体はイヌIgE産生ハイブリドーマから得られたIgEに対して交差性を示した。 2. 作製した抗イヌIgE抗体のエピトープマッピング:イヌIgE CH3領域を網羅する、それぞれ15残基からなるオーバーラッピングペプチドを合成し、作製した抗イヌIgEモノクローナル抗体のエピトープを決定した。その結果、CH3領域のうちIgE受容体との結合に重要と考えられている領域をエピトープとするモノクローナル抗体が3クローン含まれていることが明らかとなった。 3. カセットベクターの作製:正常イヌ由来脾臓cDNAライブラリーより、PCRによってIgGの重鎖および軽鎖の定常領域をクローニングし、それぞれをIRES(Internal Ribosome Entry Site)により二つの遺伝子を同時に同程度発現できる哺乳類発現ベクターpCAGS-neo-IRESに組み込み、イヌキメラ抗体発現用カセットベクターを作製した。 4. 抗体スクリーニング系の確立:作製した抗体のIgE結合阻止能評価のためのスクリーニング系の確立をイヌ肥満細胞腫由来の株化細胞を用いて試みたが、未だ確立に至っていない。次年度は由来の異なる株化細胞を用いて評価系を確立する予定である。
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