1.柴犬のGM1ガングリオシドーシスの新規診断法開発 リアルタイムPCRにTaqMan法を適用した新規診断法を開発し、従来法に比較して、検査に関わる時間を短縮するとともに処理能力を大幅に向上させた。その結果、国内外の柴犬集団の実践的予防計画に着手することが可能となった。 2.日本猫のサンドホフ病の新規診断法開発と分子疫学調査 上記と同様に、本疾患に関しても、リアルタイムPCRにTaqMan法を適用した新規診断法を開発した。本法を用いて、日本(九州および四国)、韓国ならびにバングラデシュで収集した猫集団のDNA試料について、本変異の疫学調査を開始した。平成20年度までに、300頭以上の猫を調査したが、本変異を持っ個体は見つかっていない。 3.ボーダーコリーのセロイドリポフスチン症(NCL)の新規診断法開発と予防 上記と同様に、本疾患に関しても、リアルタイムPCRにTaqMan法を適用した新規診断法を開発した。本法を用いて、ボランティア組織であるJapan Border Collie Health Networkとともに既に開始・継続しているNCLの予防活動をさらに進展させた。 4.新たなライソゾーム病を同定するためのスクリーニング法の開発 GM1およびGM2ガングリオシドーシスが確定診断されている犬猫症例の血液をプラスティック製のヘマトクリット管にて遠心し、その白血球層を前後に切断して、電子顕微鏡を用いてリンパ球のライソゾームを観察した。その結果、これらのライソゾーム内には、同遠心層板状の構造が認められため、ガングリオシドーシスに関しては、本法によりスクリーニングできることが示唆された。 5.新規疾患の同定 病理学的および生化学的解析によって、サンドホフ病の犬家系を新規に同定することができた。
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