研究概要 |
1.犬の各種ライソゾーム病の集団内遺伝子頻度の解明とその予防 柴犬のGMIガングリオシドーシスについては、これまでに発症犬が最も多く診断されている関西地区の1犬舎を調査したところ、数頭のキャリアが発見されたため、疾患予防のためにキャリアを繁殖ラインから外した。トイプードルのサンドホフ病については、現在までに200頭余の個体を調査したが、キャリアは発見されていない。ボーダーコリーの神経セロイドリポフスチン症については、407頭の調査を完了し、キャリア頻度8.1%(変異アレル頻度4.1%)と非常に高い値となった。 2.日本猫の各種ライソゾーム病の遺伝子診断法の開発と分子疫学調査 GM1ガングリオシドーシスについては、鹿児島で1,084頭中5頭(0.46%)、四国で274頭中2頭(0.73%)のキャリアを発見し、バングラデシュで171頭中2頭(1.17%)のホモ接合体および1頭(0.58%)のキャリアを発見した。一方、サンドホフ病については、国内外で千頭以上を調査したが、変異アレルを有する猫は発見されず、本疾患アレルの頻度は極めて低いと推定された。 3.ボーダーコリーの各種遺伝病の新規診断法開発と予防制圧 コリー眼異常の変異アレル頻度は16.1%と高く、MDR1遺伝子変異の頻度は0.25%と低かったため、コリー眼異常の検査と予防コントロールは必要であるが、MDR1遺伝子変異の対応は本犬種集団には必要ないと考えられた。 4.新規同定疾患の分子基盤解明 サルーキの神経セロイドリポフスチンに関する分子基盤を明らかにし、この多型に関する遺伝子型検査を開発した。 5.新規疾患の同定 日本猫に新たな変異で発症したサンドホフ病を発見し、本疾患の分子基盤について解析を開始した。
|