1.犬の各種ライソゾーム病に関する成果. 柴犬のGM1ガングリすシドーシス変異アレルに関する500頭規模の全国調査を実施し、全国平均キャリア頻度(約1%)および高頻度地域(約3%)を明らかにした。トイプードルめサンドホフ病の変異アレル頻度は低く(0.5%以下)、MRI変化が診断に有用であることを明らかにした。サルーキの神経セロイドリポフスチン症(NCL)の原因変異を同定し、同犬種内の浸潤状況を明らかにした。 2.猫の各種ライソゾーム病に関する成果 日本猫集団内のGM1ガングリオシドーシスのアレル頻度は非常に高いが(1%弱)、サンドホフ病の2種類のアレルおよびニーマンピック病の既知変異アレルは極めて低い(0.1%以下)ことが明らかとなった。また、GM1ガングリオシドーシスの症例をバングラデシュで同定し、この変異アレルが東南アジア全域に分布することが示唆された。神経セロイドリポフスチン症の猫症例に関して、CLN3遺伝子を解析し、原因変異候補となう変異を同定した。 3.ボーダーコリーの遺伝病に関する成果 捕捉好中球症候群の国内初および2例目の症例を同定し、国内アレル頻度(11%)を明らかにした。脊髄変性症(SOD1遺伝子変異)のアレルがボーダーコリー集団内にも存在することを明らかにした(約1%)。 4.新規疾患の同定に関する成果 猫のジピリミジナーゼ欠損症を同定し、その分子基盤がビト患者と同じであることを明らかにし、本疾患症例がヒト疾患の完全なモデルとなることを証明した。オオカミのシスチン尿症が、既知の犬の同疾患とは分子基盤がことなることを証明した。 5.新規診断法および治療法に関する研究 各種疾患に関する原因変異を検出する遺伝子診断法を開発した。
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