研究概要 |
本研究では,地域の有機性資源を用いた担体を自然水域に浸漬させ,鉄バクテリア集積物をリン酸肥料又はリン吸着材として利用できる形態で効率的に回収するシステムを構築することを目的とする。また,鉄バクテリアの増殖に作用する鉄の多寡を規定する,流域内の水文循環過程を定式化し,これを制御することによって,本研究で構築するリン資源の循環利用システムの汎用化をはかる。すなわち,鉄バクテリア担持用の担体と回収容器に関する最良の材料および形態を決定するとともに,水域へ流入するリンの量を予測し,十分なリン資源の循環利用を可能にするシステムの設定条件(担体の量や浸漬期間)を定式化する。そして,鉄の挙動を規定する水文循環過程を,主として地下水や土壌浸透水の挙動に着目して把握し,これを制御する方法を開発する。なお,鉄バクテリア集積物にはヒ素や重金属を吸着する性質もあるため,回収した担体が肥料として使用できない場合が考えられる。このような場合においては対策技術を考案するが,自然水域以外の汚水や廃水を対象とした,これら有害元素の水質浄化材としての利用可能性についても検討し,実用技術の確立を目指す。
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