研究課題/領域番号 |
20380182
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
小南 裕志 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, 主任研究員 (70353688)
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研究分担者 |
上村 真由子 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (60444569)
深山 貴文 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, 主任研究員 (40353875)
溝口 岳男 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, グループ長 (60353869)
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キーワード | 林学 / 環境 / CO2 / 群落呼吸量 / 炭素蓄積 |
研究概要 |
京都府南部の落葉広葉樹林(山城試験地)において森林のCO2吸収量(NEE)の高精度評価のために、解明の遅れている群落CO2放出量(呼吸量)を微気象学的手法、チャンバー法、生産生態学的手法の3つで比較し、その動態の評価を行った。乱流変動法による夜間呼吸量の連続観測から得られた群落呼吸量の季節変化は等温度下であっても春季に高く、秋期に低い結果が得られた。この傾向は地上部呼吸量に関しては春季の成長呼吸の増大が寄与しており秋期の低減は林床面上の前年葉リターの分解呼吸が秋期にはリターそのものの減少によって抑制されることが原因となっていることが明らかとなった。またバイオマス量が異なる林分間における土壌呼吸の季節変動の比較からバイオマスが4倍以上異なる森林群落においても土壌呼吸量は大きく異ならないことが明らかとなった。これは前年度までに得られた、植物体の呼吸量や分解呼吸量はサイズが大きくなるに従って重量ベースでは非線形的に小さくなっていくという知見と関連しており、群落バイオマスの多くを占める樹幹や粗根などからはCO2放出量が小さく、群落のバイオマスが異なっていても呼吸活性の高い細根や細枝、葉、さらにそこから発生する細根リターや葉リターの量はそれほどは異ならないことが原因となっていることが明らかとなった。森林群落のバイオマスは閉鎖林分であっても数倍から数十倍程度異なっている場合があり、バイオマスと呼吸量が線形的であるとすると、呼吸の卓越によってNEPが制限されてしまい群落が成長できない。しかし植物体の部位による呼吸活性の比線形的な抑制によって森林は生長に伴う全呼吸量をコントロールしていると考えられる。
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