研究課題/領域番号 |
20380184
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松田 幹 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (20144131)
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研究分担者 |
灘野 大太 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (00228074)
岡島 徹也 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (20420383)
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キーワード | ウイルス / 感染症 / 糖鎖 / 食品 / 環境 |
研究概要 |
昨年度までの研究により、分化して細胞極性を獲得したヒト腸上皮様Caco-2細胞にノロウイルスUeno-7k株のVLPsを反応させると、特定の細胞集団の頂端側に結合し、組織血液型H抗原を発現する細胞との部分的相関が見られた。ノロウイルスは多くの遺伝型が知られており、感染力、感受性との関係に興味がもたれた。今年度は、Ueno-7kとは異なる型のノロウイルス株、485株およびU201株のVLPsを調製し、分化したCaco-2細胞への結合と組織血液型H抗原との局在の有無を、免疫蛍光染色後の共焦点レーザー顕微鏡観察により解析した。しかし、485株とU201株は、いずれもUeno-7k株で観察されたCaco-2細胞への結合のような明確な蛍光シグナルは観察できず、組織血液型H抗原との局在も明確にはできなかった。同じカリシウイルス科のサポウイルスVLPsもCaco-2細胞には結合しないことから、ノロウイルスVLPsのCaco-2細胞への結合は遺伝型によって大きく異なる可能性が示唆された。一方、別の研究からヒト腸上皮様細胞株にロタウイルスVLPsを添加するとサイトカイン産生が上昇する可能性が示唆されたため、ノロウイルスVLPsを用いて予備的な実験を行った結果、培養上清へのサイトカイン分泌が上昇する傾向がみられた。今後、詳細な解析と、VLPsの添加がCaco-2細胞の分化や組織血液型抗原糖鎖の発現に及ぼす影響を解析する必要がある。 二枚貝中腸腺上皮組織のノロウイルスVLPs受容体の探索研究に関しては、リガンド・ブロット法によりVLPsと結合するタンパク質のバンドを同定し、そのバンドを切り出して、酵素消化後、質量分析によるタンパク質の同定を試みた。しかし、質量マッピング法では同定にいたらず、受容体候補分子をさらに分画し濃縮する必要である。
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