研究課題
基盤研究(B)
動物細胞と細胞外基質間の接着、いわゆる細胞接着は、1)環境センサーと2)環境コントローラーという2つ重要な役割を持っている。細胞は細胞接着により、周囲の細胞外基質の種類を感知し、自身の運命(生存、分化、運動)を決定している。センサーの異常は疾病と深くかかわっている。たとえば、正常細胞は細胞接着しているときに増殖し、浮遊状態になるとアポトーシスを起こして死んでしまう。しかし、癌細胞ではセンサーに異常がおこり、浮遊状態でも生存、増殖することができるようになっており、これががんの転移、浸潤に結びつく。さらに、環境センサーを自由に制御できれば、がんの治療だけでなく、細胞外環境に応じて分化する細胞の分化をコントロールすることで再生医療に貢献できると考えられる。一方細胞は、細胞接着を介して自身を取り巻く細胞外基質の繊維化を調節し、自らの細胞外環境をコントロールしている。細胞接着がもつこの2つの重要な機能は、いずれも接着領域に集積する細胞質タンパク質、いわゆる接着領域裏打ちタンパク質によって仲介されている。つまり、細胞接着がもつセンサーとしての重要な機能を解明していくためには、接着領域裏打ちタンパク質の機能解析が必須である。本研究では、1)細胞増殖の足場依存性、細胞外基質の種類依存的な細胞運動制御といった環境センサーとしての接着領域裏打ちタンパク質の機能解明と、2)細胞外基質フィブロネクチンの繊維化制御という環境コントローラーとしての接着領域裏打ちタンパク質の機能解明を目指している。
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