研究課題/領域番号 |
20390001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小林 淳一 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90221241)
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研究分担者 |
久保田 高明 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 准教授 (60399954)
石山 玄明 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (70333622)
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キーワード | 機能性天然分子 / 海洋天然物 / 分子標的 / 天然物ライブラリー / 海洋生物 |
研究概要 |
わが国をはじめ欧米諸国では高齢化社会を向えつつあり、癌や骨粗しょう症、アルツハイマー病や認知症などに対して有効な薬剤の開発が早急に求められている。一方、癌などの分子標的に特異的に作用する薬剤(分子標的治療薬)の開発は、従来の化学療法との併用による作用増強、特異的な作用機序による毒性の軽減、患者のQOLの改善などが期待されている。 本研究では、研究代表者が保持している、特異な構造を有する海洋生物由来の天然物ライブラリーに加え、新たに海洋生物(海綿、ホヤ、海洋由来真菌、渦鞭毛藻など)より新規な骨格を有する天然物を見い出し、これらの海洋天然物を用いて、癌、骨粗しょう症、アルツハイマー病、HIVや肝炎ウイルス等の感染症の治療に有効な新たな機能性天然分子の開発と創薬への利用を行うことを目的に研究を行った。 その結果、沖縄で採取されたAgelas属の海綿より抗菌活性を示すブロモピロールアルカロイドのベンゾセプトリンCを、Plakortis属の海綿よりアセチルコリンエステラーゼ阻害活性を示すピリジニウムアルカロイドのプラティシジンA-Cを、Spongiidae科の海綿よりチロシンキナーゼ阻害活性を示すセスキテルペノイドキノンのナキジキノンJ-Rを、それぞれ単離した。 また、以前に当研究室でAmphidinium属の渦鞭毛藻より単離した殺細胞活性を示すマクロライドのアンフィジノライドQの絶対立体配置を、分光学的手法および合成化学的手法により明らかにした。 今後、天然物ライブラリーのさらなる開拓を行うとともに、活性を示した化合物については、構造活性相関を通じて、より特異性の高いアナログを分子設計する予定である。
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