研究課題
本年度は、昨年度に全合成を達成したレパジフォルミンAの合成研究で得た知見をもとに、類似のアザスピロ骨格を有するアルカロイド、ヒストリオニコトキシンの不斉合成研究を行った。まず、ラセミ体を用いて本ラジカル転位-環化連続反応を検討した。ラジカル条件下で生成する、生成物のスピロ中心に相当するsp^3ラジカルの素早い反転を利用して、光学活性ジオール由来のケタールから遠隔不斉誘導により、ジアステレオ選択的なアザスピロ環の形成法を確立し、コア骨格の構築に成功した。本結果は、アザスピロ化合物の不斉合成の際に従来必要であった、スピロ中心の立体制御が不要になることから、工程数の大幅な短縮につながることが期待できる。抗HIV活性を示す16員環ビスキノリジジンアルカロイド、ペトロシンについては、モノマー単位であるキノリジジン環の効率的二量化法に関して検討を行った。その結果、鈴木宮浦クロスカップリングを用いる二成分連結および配座制御に基づく閉環メタセシスを鍵とする不斉全合成を達成した。これまでラセミ体でのみ調べられていた抗HIV活性を、合成した両鏡像体について活性を測定したところ、ほとんど差が見られなかった。また、独自に開発した1,2-ジアミノエテン誘導体の酸化的骨格転位反応を用いる、アミナールを有する天然アルカロイドであるイソシゾガミンの合成研究を行った。モデル化合物を用いた検討の結果、アミナール部を含む骨格構築に成功しており、本転位反応がアミナール系化合物の合成に極めて有用であることが分かった。さらに、抗腫瘍性アルカロイドであるラジニラムについては、金触媒を用いる新規ピロール合成法を開発することで、全合成を達成した。本方法は、容易に調製可能な鎖状化合物から一挙にピロールが得られる点で優れており今後基質一般性についても検討を行う。
すべて 2011 2010 その他
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件) 学会発表 (40件) 備考 (1件)
Chemistry-An Asian Journal
巻: 6 ページ: 560-572
Heterocycles
巻: 82 ページ: 1633-1644
Synlett
ページ: 73-76
Organic Syntheses
巻: 88 ページ: 152-161
Journal of Organic Chemistry
巻: 75 ページ: 627-636
ページ: 822-826
Chemical Communications
巻: 46 ページ: 2641-2643
Chemical Science
巻: 1 ページ: 206-209
Angewandte Chemie International Edition
巻: 49 ページ: 5925-5929
Organic Letters
巻: 12 ページ: 5196-5199
化学と生物
巻: 48 ページ: 450-453
http://db.tohoku.ac.jp/whois/detail/4d4bfe65cfe518ffb3fd35362e512efl.html