研究概要 |
本年度は,以下の研究項目を行った. 1.LOX-1の大量調製技術の確立:LOX-1と酸化LDLとの相互作用解析を系統的に進めるために,LOX-1の細胞外領域のほぼ全長を含むフラグメントの大量調製法を検討した。これまで行っていた試料調製法では,不溶性顆粒として得られるLOX-1フラグメントを巻き戻して活性のあるタンパク質を得るために,refolding溶液に対して微量滴下する方法を利用していた.この方法では,精製するタンパク質量のスケールアップが困難であったため,本年度は,より簡便に大量に試料を得ることをめざして,段階的透析法を検討した.その結果,安定にホモニ量体を形成したLOX-1細胞外ドメイン蛋白質を得る条件を確立できた. 2.LOX-1の細胞表層上でのクラスター形成制御機構・輸送機構の解明:LOX-1が細胞表層上でクラスターを形成することが酸化LDLの認識に必須であるとの知見を得た.また,クラスター形成にはlipid raft構造が関与していることを見出した.LOX-1受容体の細胞内輸送にはcaveolaeを利用する可能性を見出した.LOX-1の細胞内輸送の時間経過を解析した.その結果,典型的なcaveolae輸送とは異なる時間経過を示すことが取ることが見つかり,典型的なcaveolaeを用いた輸送系とは異なることを見出した. 3.Fe^<3+>を利用するMRI画像法の検討:細胞毒性の少ないFe^<3+>を利用する画像法について検証した.細胞内での鉄の含量を定量的に計測する技術を確立し,LOX-1を対象とする系への適用を検討した.
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