研究課題
本年度は,以下の研究成果を得た.1. LOX-1に結合能を持つリポソームの調製:DOPGを用いてSUV(small unilamellar vesicle)を調製した.粒子サイズをLDL粒子よりもやや大きめの直径100nmのリポソームを調製することが可能となった.DOPGで表面電荷を負に帯電させているために,LOX-1に対して強い親和性を持つことが期待された.His-tagをN末端付加したLOX-1をCo2+-レジンに吸着させたプレートを準備し,酸化LDLと上記のDOPG-SUVとの間での結合競合実験を行った.その結果,DOPG-SUVは1分子あたり酸化LDLの100-1000倍の親和性を持つことか分かつた.これは,粒子サイズが大きいためにSUVの方が一度に多くのLOX-1と相互作用できるためと考えられる.さらに特異性をあげるためにApoB-100ペプチドをドープしたSUVの調製を進めている.2. LOX-1の細胞表面上でのクラスター形成機構:LOX-1がプラズマ膜上ではろlipid raft上に集積することを確認した.また,この集積過程にはLOX-1のパルミトイル化が関与すると考えたが,実験から,この可能性は否定された.LOX-1に対して高い親和性を示すApoB-100蛋白質中の酸化生成物が,両親媒性ヘリックス部のリジンがアセチル化されたものであることを実験的に明らかにした.3. MRI画像法の開発:フェリチンを用いたT2緩和時間の差に基づく画像法を確立した.また、フェリチンのアガロースゲル試料を用いてゲル中の水のT2緩和に対する鉄と、分子運動の寄与を分離する実験式を得た。これにより分子運動の制限された生体中においてもフェリチン鉄濃度を定量できる道が開けた。
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