研究課題
我々は黄色ブドウ球菌の病原性の評価系としてカイコ感染モデルを確立している。黄色ブドウ球菌の溶血毒素はカイコに対して致死効果を示すが、黄色ブドウ球菌の溶血毒素の欠損株はカイコに対する殺傷効果を減弱しない。この結果から、我々はカイコ体内には黄色ブドウ球菌の溶血毒素の産生を抑制する機構が存在するのではないかと考えた。本研究課題では、カイコ体液中の黄色ブドウ球菌の溶血毒素の産生を阻害する因子の精製を試みた。カイコの体液から黄色ブドウ球菌の溶血毒素の産生を阻害する因子を、硫安沈殿、Phosphocellulose、Mono Sカラムクロマトグラフィーにより精製した。精製標品の比活性は66.7units/mg protein、活性の回収率は59%であった。精製標品をゲルろ過カラムにかけたところ、活性とタンパク質の挙動の一致がみられた。ゲルろ過画分の電気泳動により、200kDa、65kDaのタンパク質が検出された。N末端アミノ酸配列の決定から、これらのタンパク質はカイコの脂質輸送タンパク質であるApolipophorinのサブユニットと同定された。精製標品は黄色ブドウ球菌のα溶血素をコードするhla、およびその制御因子であるsaeのプロモーター活性を抑制した。以上の結果は、カイコの体液タンパク質Apolipophorinが黄色ブドウ球菌の病原性を抑制することで、自然免疫を担うことを示唆する。
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