研究課題
本年度は以下の研究に実績があった。(1)GPCR誘導性の活動依存的遺伝子発現制御系の解析:GPCR型受容体の活性化によってNMDAレセプター(NMDA-R)活性亢進が起こり、BDNF遺伝子など一連の最初期遺伝子群の誘導が起こる。これは、GPCRの種類によらず一般的に起こる応答である可能性が強い。この際、カルシニューリンの活性化でTORC1が核内に移行し、CREBを活性化することが明らかとなった。この経路は、記憶などの神経可塑性に関連するばかりでなく、この経路の破綻が統合失調症の発症に結びつく可能性が考えられた。(2)Arc遺伝子発現制御系の解析:すでにGPCR誘導性の活動依存的発現に7kbp上流のSAREが応答していることを明らかにした。BDNFによる誘導には、SAREとともに近位プロモーターも使われ、EgrやSp4が関わっていた。また、中位プロモーターはプロモーター活性を抑制しているが、この領域を欠損すると基本転写活性が上がるとともに、BDNFに対する応答性が上昇した。この中位プロモーターの機能解析は、時差的Arc遺伝子の発現調節とクロマチン構造調節との関連性から興味深い。(3)MAL/MKLの関わった細胞骨格系遺伝子発現制御系の解析:MAL/MKLの発現状況が神経突起形態に影響を与えること、それにはSRF誘導性の遺伝子発現にSCAIの関わることが明らかとなった。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (15件)
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